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ブラジル片田舎の村バクラウで起こる不可解な出来事と暴力の災禍ーー貧困、格差、そして政治によって主導される同胞たちの分断。前作『アクエリアス』で世界最高峰のカンヌ国際映画祭コンペティション部門に選出され、その年の映画界を席巻したブラジルの俊英クレベール・メンドンサ・フィリオ監督が本作で描くのは、現代に警鐘を鳴らす暴力に彩られた寓話的世界。再び挑んだカンヌ国際映画祭では、パルムドールこそポン・ジュノ監督『パラサイト 半地下の家族』に譲ったものの、審査員賞を受賞しブラジルに初めての栄冠をもたらした。更にはジャンル映画の祭典シッチェス・カタロニア国際映画祭でも監督賞を含む3冠を達成したほか世界各国の映画祭・映画賞で喝采を浴び、フランスの有名映画誌「カイエ・デュ・シネマ」2019年ベスト10で外国映画としては『パラサイト 半地下の家族』に次ぐ第4位に選ばれるなど文字通り同年を代表する一本となった。また、映画史に燦然と輝くアカデミー賞受賞作『蜘蛛女のキス』でその名を国際的に知らしめた名優ソニア・ブラガ、アンディ・ウォーホールに見出されて以降『奇跡の海』『ダンサー・イン・ザ・ダーク』などラース・フォン・トリアー作品の常連としても知られる怪優ウド・キアら国際色豊かな出演陣がエクストリームな物語に確かな説得力を持って彩っている。

STORY

村の長老である老婆カルメリータの死をきっかけに故郷の村バクラウに戻ったテレサ。しかしその日から村では不可解なことが次々に起こり始める。突然、村はインターネットの地図上から姿を消し、上空には正体不明の飛行物体が現れる。村の生命線である給水車のタンクに何者かが銃を撃ち込み、村外れでは村人が血まみれの死体で発見される。めったに現れないはずの他所者の来訪、それは血で血を洗う暴力と惨劇の幕開けだった。