組織に反旗を翻した殺し屋と、頼る者もなく傷ついた美しい女。『レオン』『ドライヴ』といった数々の傑作を彷彿とさせる本作の原作は、傑作ドラマシリーズ「TRUE DETECTIVE」『マグニフィセント・セブン』などの脚本家としても知られるニック・ピゾラットのデビュー作にして、アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀新人賞候補にもなった傑作犯罪小説「逃亡のガルヴェストン」(早川書房刊)。メガフォンをとったのは、『イングロリアス・バスターズ』などでフランスを代表する国際派女優として知られ、近年は『Respire(原題)』でカンヌ国際映画祭の批評家週間に正式出品されるなど監督としても高い評価を受ける才人メラニー・ロラン。繊細なストーリーテリングと映像美だけでなく、時に目を背けたくなるほどに荒々しいヴァイオレンスまでも見事に描ききり、本作もサウス・バイ・サウスウエスト映画祭、トロント国際映画祭の正式上映作品に選出されるなど高い評価を獲得。主演は日本でも圧倒的な知名度と人気を誇る女優エル・ファニングと、実力派曲者俳優ベン・フォスター。子役時代からデヴィッド・フィンチャー、アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ、ソフィア・コッポラ、ニコラス・ウィンディング・レフンら多くの名監督に愛されてきたファニングは今回、悲惨な境遇から抜け出すために身体を売って生きるしかなかった若い娼婦を熱演。今までにない扇情的な衣装と体を張ったシーンの数々で新境地を開拓。その痛々しいまでの美しさは、観る者を切なく魅了し、複雑な陰影に富んだ作品の空気そのものを作り上げた。

故郷を捨て裏社会で生きてきたロイ(ベン・フォスター)がその日、ボスの勧めで行った病院で見せられたのは、まるで雪が舞うように白くモヤがかかった自分の肺のレントゲン写真だった。命の終りが近いことを悟った彼は「どうせクソみたいな人生だ。死ぬならそれも仕方ない」そう自分に言い聞かせる。だが死への恐怖は彼を追い込み、苛立たせてゆく。その夜いつものようにボスに命じられるまま向かった“仕事先” で、ロイは突然何者かに襲われる。組織に切り捨てられたことを知った彼は、とっさに相手を撃ち殺し、その場に囚われていた若い女(エル・ファニング)を連れて逃亡する。彼女の名前はロッキー。家をとびだし、行くあてもなく身体を売って生活していたという。組織は確実に2人を追ってくるだろう。全てを失い孤独な平穏を願いながらも女を見捨てることのできないロイと、他に頼る者もなく孤独な未来を恐れるロッキー。傷だらけの2人の、果てなき逃避行が幕を開ける。