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その愛が、その絶望が、世界を動かした
アカデミー賞®受賞『シチズン・フォー スノーデンの暴露』ローラ・ポイトラス監督最新作

映画『美と殺戮のすべて』


        監督・製作:ローラ・ポイトラス『シチズンフォー スノーデンの暴露』
        出演・写真&スライドショー・製作:ナン・ゴールディン
        2022年/アメリカ/英語/121分/16:9/5.1ch/字幕翻訳:北村広子
        原題:ALL THE BEAUTY AND THE BLOODSHED/R15+/配給:クロックワークス
        コピーライト:© 2022 PARTICIPANT FILM, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
        R15+
ヴェネツィア国際映画祭金獅子賞獲得 アカデミー賞®ノミネートほか世界が称賛した闘争の記録
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Trailer


            深遠かつ煽情的 ― Variery
            美しい ― LA Times
            圧倒的破壊力、まさに芸術だ ― The Hollywood Reporter
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写真家ナン・ゴールディン
                    彼女はなぜ戦わなければならなかったのか
未来を生きるために、今我々が知るべき彼女の人生がここに記されている

1970年代から80年代のドラッグカルチャー、ゲイサブカルチャー、ポストパンク/ニューウェーブシーン…… 当時過激とも言われた題材を撮影、その才能を高く評価され一躍時代の寵児となった写真家ナン・ゴールディン。2018年3月10日のその日、彼女は多くの仲間たちと共にニューヨークのメトロポリタン美術館を訪れていた。自身の作品の展示が行われるからでも、同館の展示作品を鑑賞しにやってきたわけでもない。目的の場所は「サックラー・ウィング」。製薬会社を営む大富豪が多額の寄付をしたことでその名を冠された展示スペースだ。到着した彼女たちは、ほどなくして「オキシコンチン」という鎮痛剤のラベルが貼られた薬品の容器を一斉に放り始めた。「サックラー家は人殺しの一族だ!」と口々に声を上げながら……。

「オキシコンチン」それは「オピオイド鎮痛薬」の一種であり、全米で50万人以上が死亡する原因になったとされる<合法的な麻薬>だ。果たして彼女はなぜ、巨大な資本を相手に声を上げ戦うことを決意したのか。 大切な人たちとの出会いと別れ、アーティストである前に一人の人間としてゴールディンが歩んできた道のりが今明かされる。

Introduction

オピオイド危機

オピオイドとは、ケシから抽出した成分やその化合物から生成された医療用鎮痛剤(医療用麻薬)で、優れた鎮痛効果のほか多幸感や抗不安作用をもたらす。1995年、米国では製薬会社パーデュー・ファーマがオピオイド系処方鎮痛剤「オキシコンチン」の承認を受け、常習性が低く安全と謳って積極的に販売。主に疼痛治療に大量に処方されるようになり、2000年頃から依存症や過剰摂取による中毒死が急増。全米で過去20年間に50万人以上が死亡し、大きな社会問題となっている。

Profile

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写真&スライドショー・製作
ナン・ゴールディン

1953年9月12日生まれ。写真家。同世代で最も重要かつ影響力のあるアーティストの一人で、率直で深く個人的なポートレートを通じ、写真芸術に革命をもたらしている。11歳のときに姉バーバラが自殺。両親との折り合いが悪くなり、既成の教育システムにも嫌悪を抱くようになる。両親のもとを離れ、オルタナティブ・スクールと呼ばれる自由で進歩的な学校に転校。思春期におけるこうした体験は、その後の彼女の精神形成に大きく作用し、仲間たちとの共同生活を「拡大家族」と呼び、その存在を偽りなくありのまま記憶しておくために写真を用いる独特の表現スタイルを形成する。1970年代以降、ジェンダーやノーマリティの定義を作品で探求、自身の人生とゴールディンを取り巻く友人たちの人生を記録することで、彼らのコミュニティに声と可視性を与える。1980年代、彼女の 「拡大家族」のイメージは、代表的なスライドショーであり、最初の写真集『性的依存のバラード』の主題となる。1985年、ホイットニー美術館のビエンナーレに展示され、1996年に同美術館で大規模な回顧展が開催される。2001年には、パリのポンピドゥー・センターで2度目の回顧展が開催。2022年秋に彼女のキャリアを網羅した3度目となる回顧展「This Will Not End Well」がストックホルム近代美術館で開催された。

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監督・製作
ローラ・ポイトラス

1964年2月2日生まれ。ドキュメンタリー映画作家、ジャーナリスト、アーティスト。イラク戦争に焦点を当てた『My Country, My Country(原題)』(06)でアカデミー賞、インディペンデント・スピリット賞、エミー賞にノミネート、グアンタナモ収容所を題材にした『The Oath(原題)』(10)でサンダンス映画祭撮影賞、エディンバラ国際映画祭ドキュメンタリー部門審査員賞、ゴッサム・インディペンデント映画賞ドキュメンタリー賞を受賞。アメリカ政府のスパイ行為を告発したエドワード・スノーデンによる一連の事件のはじまりと真相に迫った『シチズンフォー スノーデンの暴露』(14)で、英国アカデミー賞、インディペンデント・スピリット賞、全米監督協会賞、ドイツ映画賞、ゴッサム賞などとともに、アカデミー賞長編ドキュメンタリー映画賞に輝く。これらの作品は、9.11後のアメリカ3部作と呼ばれている。

Comment

*順不同・敬称略

言葉さえ失っていた少女が、自立と依存の狭間で苦しみながら、世界的アーティストとなった。

現実をありのままに見据える写真で時代を切り拓いてきた、ナン・ゴールディンの美と痛みのドキュメンタリーである。また、現代美術がいかなる力を持っているか、実証してくれている。

笠原美智子
アーティゾン美術館副館長

ナン・ゴールディンのオピオイドクライシスとの闘いは、人の痛みにますます鈍感な社会にアートがどこまで対抗できるのか、というチャレンジでもある。彼女の写真にはいつも被写体への愛、彼らと彼らの文化を容易に奪おうとする社会に対する怒りが写っている。彼女からは作風以上に、アーティストとして何を大事にするべきなのかを学んだ。

アート界に彼女がいることはこれからもわたしを支え、勇気を奮い起こす助けになると思う。

長島有里枝
アーティスト

「行動を起こさなければ」とナン・ゴールディンは言った。そうしてミュージアムは〈寝た子〉を起こす場となった。とはいえ本作は、オピオイド危機の原因企業への直接行動を牽引した、希代の写真家の後ろ姿を追うだけのものではない。

映し出されるのは、彼女を「行動」へと導いた人生の道行きと、喪失のかたちだ。薬物依存、精神障害、AIDS……、それらを烙印と見なし、偏見を押し付け、人命を軽んずるこの社会に対して、ナン・ゴールディンは抵抗し続ける。

小田原のどか
彫刻家・評論家・版元主宰

はじめてナン・ゴールディンの写真を見たときに感じた、セックス・ドラッグ・暴力(そして死)の生々しさと、それらがあまりにも魅力的に写っていることへの困惑をよく覚えています。この映画のなかでその写真と再び出会い、彼女がオピオイド危機にその身を呈して立ち向かう姿とその声がより切実なものに感じられました。

村上由鶴
写真研究

19の時、地下鉄で偶然にナン・ゴールディンと出逢った。それから東京とNYで色々な事を遊びのなかに教えてくれた。モデルをすすめてくれたが、わたしはモデルは好きじゃないと言っていた気がする。20数年会っていないが、「美と殺戮のすべて」のナンを観て何も変わっていないと感じた。強さと脆さと優しさと反骨さと。ナンは闘い続けてる。

ナンと出逢わなかったら今の俺はない。確実に

渋川清彦
俳優

1980年代のサブカルチャーを鮮烈にとらえた伝説的写真集『性的依存のバラード』のナン ・ゴールディンが、アクティビストとして社会正義を謳うことに一瞬戸惑うひともいるかもしれない。しかし、アメリカのオピオイド危機の深刻さ、彼女自身がそのサバイバーであること、そして、世界のアートのインフラである大型美術館がこのオピオイドの利益による寄付で支えられてきたことを知るとき、その見え方は一変する。

観る者にアート界の欺瞞性とアートの力をこれほど強烈に突き付けてくる映画はほかにない。

岩渕貞哉
美術手帖総編集長

「痛み」をないものにする社会で「ここに痛みがある」と訴える。それはアートの役割のひとつであり、ゴールディンが長い間取り組んできたことだ。つまり鎮痛薬によって維持される社会の病巣に斬り込むことは、彼女にとって必然の帰結なのだ。

痛みと悲しみを見つめ続けた者だけが持つ強さと美しさが、ここにある。

瀧波ユカリ
漫画家

人はなぜ戻ることのできない時に思いを馳せ、時に後悔をするのだろう?ナンはきっと、ままならなかった悔しさを新しい時代の希望にする為戦うことを選んだのだと思う。そして怒れることを恐れず、勝ち取り、悲しみも喜びも分けあって生きている。

私は何を選び取れるだろう。

イシヅカユウ
モデル・俳優

この映画は、写真の、アートの闘いの映画だ。ナンが2023年末に、アートワールドで 最も影響力のある『ArtReview』のランキング「Power100」で1位に選ばれたのは、 彼女が「私」という「生」の場を最もラディカルなアートにしたからだ。その苛烈な姿の全てがこの映画にある、目撃せよ「現代写真」の前線を!

後藤繁雄
編集者/京都芸術大学教授

アメリカでオピオイド中毒死が急増した原因を作った富豪一家。自ら薬物中毒サバイバーである著名写真家率いる抗議活動は、メトロポリタン、ルーブルなどの美術館に向かう。

アート、巨万の富、無責任な医療行政をパーソナルな視点でつなぐ、非常に見応えのあるドキュメンタリー。

治部れんげ
ジャーナリスト

異質。異端。それの何が悪い?ナン・ゴールディンは、この世の記憶を偽りなく物体に吹き込み、それが現在・未来へと生き継がれている。その力があるからこそ私はアートに惹かれるのだ。偏見が形を変えて浮き続ける世の中で、いつの時代も人は自由を求めている。今、自分が信じるもの。愛するもの。それは一体何なのか。誰なのか。

生命力溢れる彼女の人生にあなたもきっと問いただされるだろう。

MISATO ANDO
美術家

痛みに体が支配される時、時は過去と未来のつながりを失い、点滅し始める。人は一瞬ごとの苦しみに閉じ込められ、そこから逃げ出すためには、もう、何にでもすがるだろう。困難にどのように抵抗するか、その手段こそが「表現」であることを彼女は体得していく。だからこそ「生き延びることがアートだった」と言う。ナンと彼女の近しい人たちは、その姿を写真に写すことによって曝けていたのではなく、私たちの鏡のようにして、世界に、その光を照らし返すのだ。

志賀理江子
写真家
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映画『美と殺戮のすべて』ご鑑賞予定の皆様へ

本作には自死、ドメスティック・バイオレンス、性的搾取などに関する描写がございます。

鑑賞されるお客様によっては、フラッシュバックを引き起こすことやショックを受けられることも予想されます。

予めご留意くださいますよう、お願い申し上げます。