TRAILER

INTRODUCTION

監督は実録歴史ミステリー『ヒトラーの贋札』で第80回アカデミー賞外国語映画賞を受賞した名匠ステファン・ルツォヴィツキー。今作では同じく歴史の暗黒時代に焦点を当てながらも、全編ブルーバックによる撮影で、まるでダークファンタジーのような世界観を立ち上らせる。残酷な戦争の悲劇を、寓話的にそして絵画的に描き出した美しい悪夢のような映像は多くの観客を魅了。ロカルノ国際映画祭では観客賞を受賞、母国最高の栄誉であるオーストリア映画賞で6部門ノミネート、美術賞を受賞するなど高い評価を獲得した。

STORY

第一次世界大戦終結後、長く苦しいロシアでの捕虜収容所生活から開放され、ようやく故郷にたどり着いた元刑事ペーターとその戦友たち。しかし帰国した彼らを待ち受けていたのは変わり果てた祖国だった。敗戦国となり皇帝は国外逃亡。愛する国と家族を守るために戦った彼ら兵士たちに対するねぎらいの言葉すらない。そして帰宅した家に愛する家族の姿はなく、行き場をなくすペーター。そんな最中、河原で奇妙な遺体が発見される。被害者はペーターのかつての戦友だった。遺体には相手に苦痛を与えることを目的に仕掛けられた拷問の跡、そしてその痕跡は、犯人もペーターと同じ帰還兵であろうことを告げていた。ペーターは自身の心の闇と向き合うために、自らの手で真相を暴くべくボロボロの心身に鞭打って動き始めるのだが……。

CAST

ムラタン・ムスル

ペーター・ペルク役

1981年オーストリア・ウィーンでトルコ人の両親のもとに生まれる。15歳で学校を退学後、映画のVHSの収集と観賞に明け暮れる(彼はその時期のことを「演技学校」と呼んでいる)。ドイツの権威あるFirst Steps Awardsを受賞したウムト・ダー監督の短編『Papa(原題)』(2011)で映画デビューを飾り、俳優としてのキャリアをスタートさせる。以降ドイツとオーストラリアで20作品以上のTVドラマ・映画の主役を務めている。

リヴ・リサ・フリース

テレーザ・ケルナー博士役

1990年ドイツ・ベルリン生まれ。2005年から女優として活動。2017年Variety誌が選んだ「注目すべき10人のヨーロッパ俳優」の一人に選ばれるなどドイツで最も著名な若手女優の一人。特にTVシリーズ「バビロン・ベルリン」(2017-)での演技は批評家からも高い評価を獲得し数々の賞を受賞。近年もNetflix映画『ミュンヘン:戦火燃ゆる前に』(2021)などTVドラマ・映画を問わず数多くの作品に出演している。

マルク・リンパッハ

ヴィクトア・レンナー役

1975年ルクセンブルク生まれ。ストラスブール大学、パリ大学、ケルン大学、ケンブリッジ大学で法律を学び、在学中また弁護士としての仕事を続ける傍ら数多くの演劇作品に出演。TVシリーズ「Bad Banks(原題)」(2018-)の演技でルクセンブルク映画賞、ドイツ・エミー賞などにノミネートされるなど高い評価を獲得。本作に続き『ミュンヘン:戦火燃ゆる前に』でリヴ・リサ・フリースと共演している。

マックス・フォン・デル・グローベン

パウル・セヴェリン役

1992年ドイツ、ケルン生まれ。ミュンヘンのオットー・ファルケンベルク演技学校で芝居を学ぶ。2011年のTV映画『Inklusion – gemeinsam anders(原題)』での演技が評価され注目を集めると、2013年にはドイツのゴールデンカメラ賞で最優秀新進俳優賞を受賞し若手スターの仲間入りを果たす。その他の出演作にNetflix映画『ステラ -真昼の誘拐-』(2019)、ドイツで大ヒットとなった『イーダと動物たちの魔法学園』(2021)などがある。

STAFF

ステファン・ルツォヴィツキー|監督・脚本

1961年オーストリア・ウィーン生まれ。ミュージックビデオの監督として、スコーピオンズ、ノー・マーシー、ジャスティン・ティンバーレイクなどの作品を手掛けて注目を集める。長編劇映画『The Inheritors(原題)』(1998)がロッテルダム国際映画祭をはじめ国際的な映画賞を多数獲得し、映画監督としてもその地位を確立。『ヒトラーの贋札』(2007)ではアカデミー賞外国語映画賞を受賞した。その後ハリウッドにも進出し『デッドフォール 極寒地帯』(2012)を監督。その他の作品にディズニー製作のファミリー向け映画『リリーと空飛ぶドラゴン Episode 1:新しい魔法使いの誕生』(2008)、『コールド・キラー』(2017)、『インフェクテッドZ』(2018)などがある。